1 00:00:04,050 --> 00:00:10,092 2011年3月11日、 金曜日の午後2時46分、 2 00:00:10,132 --> 00:00:14,910 日本の北東沖70キロメートルの 海底が突然ずれ動きました。 3 00:00:14,950 --> 00:00:18,556 地面は数分間揺れ続け、 沿岸の多くの場所では、 4 00:00:18,596 --> 00:00:22,950 海が押し寄せるまでおおよそ 三十分しかありませんでした。 5 00:00:23,030 --> 00:00:26,191 これは、日本でこれまでに 観測された中で最も強い 6 00:00:26,231 --> 00:00:27,290 地震の物語です。 7 00:00:27,330 --> 00:00:29,425 なぜこの地震が起きたのか、 なぜその警告がすでに 8 00:00:29,465 --> 00:00:31,869 1,000年も前から 存在していたのか、そしてその後、 9 00:00:31,909 --> 00:00:34,690 日本が何を変えたのかを 見ていきましょう。 10 00:00:36,720 --> 00:00:38,691 あの日を理解するには、 地下から話を 11 00:00:38,731 --> 00:00:40,133 始めなければなりません。 12 00:00:40,173 --> 00:00:44,220 日本は、地球の構造プレートのうち 四つが出会う場所にあるからです。 13 00:00:44,260 --> 00:00:47,895 その四つとは、太平洋プレート、 フィリピン海プレート、 14 00:00:47,935 --> 00:00:50,820 北アメリカプレート、 ユーラシアプレートです。 15 00:00:50,860 --> 00:00:55,876 どれも厚さ約100キロメートルの 岩の板で、地球の表面をゆっくりと 16 00:00:55,916 --> 00:00:57,300 移動しています。 17 00:00:57,440 --> 00:00:59,200 どのプレートも、 動きを止めることはありません。 18 00:00:59,240 --> 00:01:02,515 太平洋プレートは年に 約8センチメートル、 19 00:01:02,555 --> 00:01:06,849 つまり爪が伸びるおよそ二倍の 速さで、日本に向かって 20 00:01:06,889 --> 00:01:08,100 進んでいます。 21 00:01:08,140 --> 00:01:12,398 北東沖では、太平洋プレートが 日本海溝で北日本と出会います。 22 00:01:12,438 --> 00:01:15,762 日本海溝は、 深さ約8キロメートルに達する 23 00:01:15,802 --> 00:01:17,380 海底の裂け目です。 24 00:01:17,500 --> 00:01:20,836 海溝で、太平洋プレートは曲がって 日本の下に沈み込み、 25 00:01:20,876 --> 00:01:23,635 その下にある高温の マントルへとゆっくり 26 00:01:23,675 --> 00:01:24,860 沈んでいきます。 27 00:01:25,020 --> 00:01:25,971 しかし、 なめらかに 28 00:01:26,011 --> 00:01:27,240 滑るわけではありません。 29 00:01:27,280 --> 00:01:29,992 二つのプレートが接する部分は 固着しているため、 30 00:01:30,032 --> 00:01:34,158 日本の縁は毎年少しずつ引きずり 込まれ、押し縮められていきます。 31 00:01:34,198 --> 00:01:37,540 ばねをどんどん強く 巻いていくようなものです。 32 00:01:37,680 --> 00:01:40,680 やがて、ひずみが摩擦に 打ち勝ちます。 33 00:01:40,720 --> 00:01:44,540 わずか数分のうちに断層がずれ、 押し縮められていたプレートの縁が 34 00:01:44,580 --> 00:01:48,869 跳ね返り、海底が急に持ち 上がって、その上の海水全体を 35 00:01:48,909 --> 00:01:50,080 押し上げます。 36 00:01:50,120 --> 00:01:54,280 この仕組みによって、 日本で世界の強い地震の約五分の 37 00:01:54,320 --> 00:01:59,376 一が起こる理由や、日本に100を 超える活火山がある理由が 38 00:01:59,416 --> 00:02:00,740 説明できます。 39 00:02:02,750 --> 00:02:05,204 日本には 1,000年以上前にさかのぼる 40 00:02:05,244 --> 00:02:09,049 地震の記録が残っており、 その一つが869年のある 41 00:02:09,089 --> 00:02:11,430 夜のことを伝えています。 42 00:02:11,790 --> 00:02:14,861 その夜、現在の仙台市の近くで 巨大地震が起こり、 43 00:02:14,901 --> 00:02:19,430 海水が沿岸の平野をはるか内陸まで 押し寄せました。 44 00:02:19,470 --> 00:02:21,930 約1,000人が溺れて 亡くなりました。 45 00:02:22,210 --> 00:02:25,984 1990年ごろから、 その同じ平野で地層を掘っていた 46 00:02:26,024 --> 00:02:28,790 地質学者たちが、この津波の痕跡を 見つけました。 47 00:02:28,830 --> 00:02:32,955 それは、海岸から何キロメートルも 離れた場所にある海の砂の層で、 48 00:02:32,995 --> 00:02:35,928 その下には、さらに昔の巨大な波が 残した、 49 00:02:35,968 --> 00:02:38,010 より古い砂の層がありました。 50 00:02:38,190 --> 00:02:41,910 この証拠は、巨大津波が何世紀もの 間隔をおいて、この海岸を何度も 51 00:02:41,950 --> 00:02:44,170 襲ってきたことを示していました。 52 00:02:44,210 --> 00:02:46,905 公式の予測も、ここで大地震が 起こることは想定していました。 53 00:02:46,945 --> 00:02:50,503 しかし想定されていたのは マグニチュード8前後の地震で、 54 00:02:50,543 --> 00:02:52,190 九ではありませんでした。 55 00:02:52,230 --> 00:02:56,890 さらに北の険しい三陸海岸では、 もっと最近の記憶がありました。 56 00:02:56,930 --> 00:03:00,400 1896年には、 そこで津波が最大38メートルの 57 00:03:00,440 --> 00:03:03,667 高さまで駆け上がり、 約22,000人が 58 00:03:03,707 --> 00:03:05,150 亡くなりました。 59 00:03:05,290 --> 00:03:09,950 1933年には、別の津波でさらに 約3,000人が亡くなりました。 60 00:03:09,990 --> 00:03:14,790 その後、姉吉という小さな集落の 人々は、石に警告を刻みました。 61 00:03:14,830 --> 00:03:17,331 碑文にはこう書かれています。 62 00:03:17,371 --> 00:03:20,010 「此処より下に家を建てるな」。 63 00:03:21,980 --> 00:03:27,164 2011年3月11日午後2時 46分、ついに断層がずれ 64 00:03:27,204 --> 00:03:28,360 動きました。 65 00:03:28,400 --> 00:03:31,369 破壊は、 牡鹿半島の沖約70キロメートル、 66 00:03:31,409 --> 00:03:35,240 深さおよそ30キロメートルで 始まりました。 67 00:03:35,400 --> 00:03:39,446 そこから破壊は海溝に沿っておよそ 400キロメートルにわたって 68 00:03:39,486 --> 00:03:42,356 進み、場所によっては二つの プレートが 69 00:03:42,396 --> 00:03:44,780 最大50メートルもずれました。 70 00:03:44,820 --> 00:03:48,960 日本の緊急地震速報システムは、 その主な役割を果たしました。 71 00:03:49,000 --> 00:03:54,064 センサーが最初に届く速い波を 検知し、最も強い揺れが到達する 72 00:03:54,104 --> 00:03:55,960 前に警報が出されました。 73 00:03:56,260 --> 00:04:00,532 約370キロメートル離れた 東京では、約一分前に警報が 74 00:04:00,572 --> 00:04:05,160 出ましたが、東京での揺れはかなり 過小に見積もられていました。 75 00:04:05,240 --> 00:04:09,933 地震から三分後、日本の気象庁は 最も高いレベルの津波警報を 76 00:04:09,973 --> 00:04:11,120 発表しました。 77 00:04:11,160 --> 00:04:15,087 しかし、地震の規模の最初の推定は マグニチュード7.9と 78 00:04:15,127 --> 00:04:19,947 小さすぎたため、 最初の津波の予想も3メートルから 79 00:04:19,987 --> 00:04:23,020 6メートルと低すぎました。 80 00:04:24,160 --> 00:04:27,496 その後、沖合のセンサーが実際の 波を検知し、 81 00:04:27,536 --> 00:04:30,580 警報は10メートル超に引き 上げられました。 82 00:04:30,620 --> 00:04:34,682 最終的なマグニチュードは、 日本の算定では9、 83 00:04:34,722 --> 00:04:38,100 米国地質調査所の算定では 9.1でした。 84 00:04:38,140 --> 00:04:43,410 深い外洋では、 津波はジェット機とほぼ同じ 85 00:04:43,450 --> 00:04:46,940 時速約800キロメートルで 進みます。 86 00:04:46,980 --> 00:04:50,230 高さがわずか 一メートルほどしかなくてもです。 87 00:04:50,270 --> 00:04:53,940 海岸近くで水深が浅くなると、 波は遅くなります。 88 00:04:53,980 --> 00:04:57,134 そして後ろから水が次々とやって 来るため、 89 00:04:57,174 --> 00:04:59,650 波は上へ高くなるしかありません。 90 00:04:59,730 --> 00:05:02,340 この津波は、 太平洋全体にわたって、 91 00:05:02,380 --> 00:05:04,490 あらゆる方向へ広がりました。 92 00:05:04,530 --> 00:05:09,606 宮古の近くでは、海水が丘の斜面を 海抜40メートルまで駆け上がり、 93 00:05:09,646 --> 00:05:13,329 過去の津波に備えて造られた 防潮堤はあっさり乗り 94 00:05:13,369 --> 00:05:14,610 越えられました。 95 00:05:14,750 --> 00:05:16,970 船が、はるか内陸まで 運ばれました。 96 00:05:17,010 --> 00:05:21,090 宮古のこのフェリーは、 家々の間に取り残されました。 97 00:05:21,310 --> 00:05:26,348 869年に浸水したのと同じ 仙台平野では、海水が仙台空港を 98 00:05:26,388 --> 00:05:30,190 飲み込み、さらに何キロメートルも 内陸まで進みました。 99 00:05:30,230 --> 00:05:31,663 全体で、 日本の 100 00:05:31,703 --> 00:05:35,767 500平方キロメートル以上が 水につかり、 101 00:05:35,807 --> 00:05:39,390 沿岸の漁業の町がまるごと 壊滅しました。 102 00:05:39,570 --> 00:05:43,509 姉吉では、波は古い石碑から 約90メートル下ったところで 103 00:05:43,549 --> 00:05:44,530 止まりました。 104 00:05:44,570 --> 00:05:47,656 集落の家はすべて石碑より上に 建てられていたため、 105 00:05:47,696 --> 00:05:49,070 一軒残らず無事でした。 106 00:05:49,250 --> 00:05:52,400 福島第一原子力発電所では、 約六メートルの波を想定して 107 00:05:52,440 --> 00:05:55,467 設計された敷地を、 高さ約14メートルの波が襲い、 108 00:05:55,507 --> 00:05:56,490 浸水させました。 109 00:05:56,530 --> 00:06:00,766 原発は電源を失い、三基の原子炉が メルトダウンし、 110 00:06:00,806 --> 00:06:04,430 チェルノブイリ以来最悪の 原子力事故となりました。 111 00:06:04,650 --> 00:06:07,490 その間にも、 津波は進み続けていました。 112 00:06:07,530 --> 00:06:12,090 津波は約七時間後にハワイに、 約十時間後にカリフォルニアに 113 00:06:12,130 --> 00:06:15,814 到達して港のボートを破壊し、 地震から約一日後にはチリに 114 00:06:15,854 --> 00:06:17,010 到達しました。 115 00:06:19,060 --> 00:06:22,332 18,000人以上が死亡または 行方不明となり、 116 00:06:22,372 --> 00:06:23,897 その大半は溺死でした。 117 00:06:23,937 --> 00:06:28,660 また、120,000棟以上の 建物が破壊されました。 118 00:06:28,880 --> 00:06:30,631 世界銀行は、 被害額を 119 00:06:30,671 --> 00:06:33,783 最大 235,000,000,000ド 120 00:06:33,823 --> 00:06:35,256 ルと推定しました。 121 00:06:35,296 --> 00:06:39,380 これは当時、記録上最も被害額の 大きい自然災害でした。 122 00:06:39,420 --> 00:06:42,480 この地震は、土地そのものの形まで 変えました。 123 00:06:42,520 --> 00:06:45,911 牡鹿半島は海に向かって 5メートル以上移動し、 124 00:06:45,951 --> 00:06:49,060 一メートル以上沈下しました。 125 00:06:49,160 --> 00:06:52,742 また、地球の質量が大きく 移動したため、NASA のある 126 00:06:52,782 --> 00:06:55,927 計算によれば、 地球の自転がほんのわずかに 127 00:06:55,967 --> 00:06:57,300 速くなりました。 128 00:06:57,340 --> 00:06:58,491 一日の長さは 約 129 00:06:58,531 --> 00:07:01,287 1.8マイクロ秒短くなりました が、 130 00:07:01,327 --> 00:07:03,649 誰も 気づかないほどのわずかな 131 00:07:03,689 --> 00:07:04,480 変化です。 132 00:07:04,780 --> 00:07:06,900 生き延びた人々の物語もあります。 133 00:07:06,940 --> 00:07:10,972 釜石市では、子どもたちが何年も 前から一つの簡単なルールを 134 00:07:11,012 --> 00:07:12,289 練習していました。 135 00:07:12,329 --> 00:07:15,217 大きな地震の後は、 すぐに高台へ逃げること、 136 00:07:15,257 --> 00:07:17,640 そして誰も待たないことです。 137 00:07:17,780 --> 00:07:21,220 市内の3,000人近い 児童・生徒のほぼ全員が生き 138 00:07:21,260 --> 00:07:22,080 延びました。 139 00:07:23,950 --> 00:07:26,990 日本は、津波警報の仕組みを作り 直しました。 140 00:07:27,310 --> 00:07:30,458 現在では、地震が大きすぎてすぐに 規模を測れない場合、 141 00:07:30,498 --> 00:07:33,490 最初の警報で数値を 推測することはもうありません。 142 00:07:33,530 --> 00:07:37,130 代わりに、 津波が巨大になるとだけ伝えます。 143 00:07:37,370 --> 00:07:41,919 日本海溝と千島海溝に沿って、 現在150か所の海底観測点が 144 00:07:41,959 --> 00:07:46,685 地震と津波を監視しており、 約5,500キロメートルの 145 00:07:46,725 --> 00:07:49,570 ケーブルで陸とつながっています。 146 00:07:49,710 --> 00:07:53,344 現在、400キロメートルを超える 新しい防潮堤が海岸に沿って 147 00:07:53,384 --> 00:07:55,678 続いており、その中には高さ 12メートルを 148 00:07:55,718 --> 00:07:56,890 超えるものもあります。 149 00:07:59,120 --> 00:08:01,120 プレートは、 今も動き続けています。 150 00:08:01,160 --> 00:08:06,083 日本では、平年で約2,000回、 つまり一日に五回から六回の地震が 151 00:08:06,123 --> 00:08:07,160 感じられます。 152 00:08:07,200 --> 00:08:10,279 その多くはごく弱く、 屋内で静かに座っている人しか 153 00:08:10,319 --> 00:08:13,525 気づきませんが、 どれも同じプレートが今も 154 00:08:13,565 --> 00:08:15,460 動いているしるしです。 155 00:08:15,840 --> 00:08:19,127 科学者たちは、日本の南西沖にある 南海トラフという、 156 00:08:19,167 --> 00:08:21,020 別の断層にも注目しています。 157 00:08:21,060 --> 00:08:26,736 2025年、日本政府は、 そこで30年以内に巨大地震が 158 00:08:26,776 --> 00:08:28,780 起こる確率を推定しました。 159 00:08:28,820 --> 00:08:31,920 ある方法では60%から 90%以上、 160 00:08:31,960 --> 00:08:35,020 別の方法では20%から 50%です。 161 00:08:35,060 --> 00:08:37,420 では、覚えておきたいことを三つ 挙げましょう。 162 00:08:37,460 --> 00:08:41,471 第一に、2011年の地震は、 日本海溝で太平洋プレートが 163 00:08:41,511 --> 00:08:42,563 北日本の下で 最大 164 00:08:42,603 --> 00:08:45,960 50メートルもずれたことによって 起こりました。 165 00:08:46,000 --> 00:08:49,908 そのためマグニチュード9となり、 日本で観測された中で最も強い 166 00:08:49,948 --> 00:08:51,080 地震になりました。 167 00:08:51,120 --> 00:08:53,158 第二に、 被害の大部分をもたらしたのは 168 00:08:53,198 --> 00:08:53,838 津波でした。 169 00:08:53,878 --> 00:08:57,698 津波は最大40メートルの高さまで 駆け上がり、18,000人以上が 170 00:08:57,738 --> 00:08:59,720 死亡または行方不明となりました。 171 00:08:59,760 --> 00:09:03,131 そして第三に、 警告はすでにそこにありました。 172 00:09:03,171 --> 00:09:07,120 869年の洪水に、 そして姉吉の石碑のような石に。 173 00:09:07,160 --> 00:09:10,953 姉吉の石碑は今も立っており、 そのメッセージこそが、 174 00:09:10,993 --> 00:09:12,420 この物語全体の教訓です。 175 00:09:12,460 --> 00:09:15,762 地球は独自の暦を刻んでおり、 私たちが忘れたことを 176 00:09:15,802 --> 00:09:17,000 覚えているのです。 177 00:09:17,040 --> 00:09:18,245 Earth Explained をご 178 00:09:18,285 --> 00:09:19,520 覧いただき、 ありがとうございました。 179 00:09:19,560 --> 00:09:21,711 チャンネル登録で次の ストーリーをお見逃しなく。 180 00:09:21,751 --> 00:09:24,050 EarthWatch 24-7 では、地球をいつでも 181 00:09:24,090 --> 00:09:25,700 ライブでご覧いただけます。